離婚協議書の作り方
離婚協議書と言うこともあれば、離婚合意書と言うこともありますが、どちらも同じものです。ここでは、離婚協議書という言い方をしていきます。
1.離婚届も必要
離婚協議書を作っただけでは離婚できません。離婚届の提出も必要ですから、事前に、離婚届も用意しておきます。区役所には、離婚届の用紙が置いてありますし、ホームページからダウンロードもできますが、アマゾンや楽天市場などでは、挿絵入りのおしゃれな離婚届を買うことができます。江東区では、コトミちゃん(江東区観光キャラクター)のイラスト入り婚姻届を配布していますが、コトミちゃんの離婚届はないようです。
2.未成年の子どもがいる場合、親権者を決めます。
共同親権が可能になるのは2026年以降です。それまでに離婚する場合は、父か母のどちらか一人を親権者として指定しないといけません。
同時に、子どもと同居して、子どもを育てる役割の親(監護者といいます。)も決めておきますが、親権者と監護者は同じ人にするのが普通です。離婚しても、別居しない場合は、決めなくてもいいかもしれません。
3.養育費を決めます。
養育費の月額と、支払い期間(何年何月から何年何月まで)を決めます。一度決めた養育費は、交通事故でこれまでと同じように働けなくなったとか、再婚して子どもに新しいパパができた、再婚して子どもが増えたなど、特別な事情がなければ変更できません。もちろん、相手が同意してくれれば変更できますが、一度変更したものを元に戻すのは難しいので慎重にしてください。
家庭裁判所では、養育費算定表(家庭裁判所のホームページで「養育費・婚姻費用算定表」という名前で公開されています。)を使って養育費の金額を決めます。裁判や調停手続以外でも、算定表に従って決めることが多いです。
養育費は子育てに必要な日常の経費なので、病気、事故、進学等の特別の出費は含まれません。このような特別の出費については、別に協議して決めることになります。協議もせずに、勝手に私立中学に進学させてしまったら、学費を請求する権利はありません。
4.面会交流について
両親のどちらか、または、両方と離れて暮らしている子どもが、定期的に、別居している親と直接会って交流することを面会交流と言いますが、その条件については、子どもの希望を尊重して実施すると決めておくのがよいです。面会交流するのは子どもの権利なので、大人の事情よりも、子どもの権利が優先されなければいけません。
もし、面会交流したいのにできない状況であれば、面会交流調停の申し立てをすることを勧めます。
5.財産分与を決めます。
結婚してから離婚(または別居)するまでの間、夫婦で協力して築いた財産があれば、離婚時に、これを清算することができます。これを財産分与といいます。財産分与の割合は、2分の1です。ただし、財産(不動産など)があっても、負債(住宅ローンなど)のほうが大きければ、差し引きマイナスなので、財産分与は0円です。
結婚後に夫婦どちらか名義で取得した、不動産、預貯金、生命保険解約金、退職金(結婚時から別居時までの勤務年数で按分)、株式、投資信託、自動車などが財産分与の対象です。結婚前から持っていた財産や、親からもらったり、相続した財産は対象外です。
6.慰謝料
財産分与以外に慰謝料も請求するなら、その金額と支払期限も決めておきます。
7.その他
離婚後の連絡先を伝えたり、子どもの健康保険や扶養控除についても、決めておいたほうがよいです。
8.清算条項
当事者双方は、本件離婚に関し、本協議書に定めるほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
という条項を入れておかないと、後になって、別途、お金を請求されるリスクがあります。
9.年金分割
年金分割は、離婚協議書に書いても効果がありません。離婚後2年以内(相手が亡くなった場合は1か月以内)に、年金事務所への請求が必要です。共働きだった場合や、結婚したのが2008年3月以前の場合は、公正証書の作成や、家庭裁判所の審判など、他の手続が必要な場合もあります。